掌
自分の地元の駅じゃない所で電車を降り、慣れた手付きで、あの子の携帯に電話する。
長い機械音の後に、あの子の声がした。
『もしも〜し!どしたぁ?』
「…今、真奈美ん家の駅に来てるんだけど、会えない?」
どこか冷静なあたし。
『私ん家の?!ごめん、私今買い物に出かけてるんだよ〜。』
確かに、電話の向こうが騒がしい。人混みの中にいるという事が分かる。
「じゃあ駅で待ってるから、買い物終わったら来て。」
『えっ…あ…うん。分かったぁ…。』
あたしの急な電話と態度に、真奈美もただならぬものを感じたのか、急ぐね、と言って電話を切った。
買い物なんてすぐ終わるもんじゃない。
何時間でも待つつもりだ。
今日中に話さないと、あたしの中のこの感情がおさまらない……。