掌
セミの鳴き声も少なくなる夕方。
夏のジリジリとした暑さも生ぬるい陽射しに変わる。
電話して一時間も経たないうちに、改札口から急いででてくる真奈美を見つけた。
駅前の、たくさんの木々の木陰に寄り添うあたしを見つけて、手を振りながら走ってきた。
「ごめん…むちゃ待たせたね!」
大粒の汗を流す真奈美は、急に来たあたしのために、買い物を打ち切って急いで来てくれた事を物語っている。
そんな真奈美の優しさに、あたしの熱い気持ちが少し揺らいだが、達也のあの無表情が頭から離れなくて……
言ってしまった。
「真奈美……ひどいよ。」
「……え…?」
弾む息を整えていた真奈美が硬直した……。