掌
「よかったって…あたしの気持ち、なんにも分かんないくせに!」
大声で怒鳴ると、駅から慌ただしく流れでてくるサラリーマンや、部活帰りであろう学生たちが、横目で見てきた。
真奈美はそんな事お構い無しで、あたしに言い返す。
「分からないよ!現実逃避してる歩の気持ちなんて…!」
あたしに負けないくらいの大きな声で、そう言った真奈美の辛そうな、痛そうな顔は、今のあたしには見えなかった。
現実逃避…?
あたしのどこが、現実逃避してるってゆうの?
「あたしは現実を受けとめてる!今は、達也殴るけど…また前みたいに戻るって信じてるから、一緒にいるの!」
あたし達の心境を表すかのように、木々がざわざわと大きく揺れている。