掌
「健太君に、あたしが達也に…殴られる事言ったでしょ……。」
実際に、本人に対して言葉にすると、怒りがどんどん溢れてくる……。
真奈美にしか言わなかったのに……他人に言うなんて
裏切りだよ。
「昨日……健太君に説教されたって……。」
続けて言うあたしに、全てを理解した真奈美は一瞬、戸惑った顔を見せたけど、そんな表情を隠し、あたしに言った。
「うん…言った。ごめんね。」
真っ直ぐあたしを見る真奈美の顔は真剣で
でも悪びれた顔ではなかった。
そんな真奈美にあたしは
「ごめんねじゃないよ!達也に、あたしが愚痴ってるって誤解されちゃったんだよ?!」
そんな顔してられるのは他人事だからなんだ。
真奈美は、あたしの事心配、みたいな事言っときながら、なにも理解しようとしてくれてなかったんだ。
真奈美の真剣な表情を、無関心な表情としかとれなくて、裏切られた気持ちと怒りが膨れ上がる。
「怒ってたのに殴るどころか…顔も見てくれなかった…。」
辛い事を思い出して俯くあたしに
「殴られなかったの??…よかった…。」
こう言い放った真奈美。
あたしの理性がとんだ。