上司の笑顔を見る方法。
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「本当にすみませんでした!」
ある日の夕方、私は藤谷さんに向かって頭を下げていた。
オフィスにいる数人から飛んでくる憐れみを含む視線が少し痛い。
今日はゆずさき製薬から依頼されたHP開発の中間プレゼンの日で、依頼者の元へ出向いてきた。
私たちの仕事の流れとして、ひとつのプロジェクトを手掛けている途中で、開発状況やどのような出来上がりになるのかを依頼者に確認してもらうためのプレゼンの場を設けることになっている。
そこで依頼者から改善して欲しい箇所を上げてもらったり、こちらから提案したりするのだ。
その後、完成に向けて修正・テストを行っていく。
そのプレゼンの場で、私が作成を担当していた部分で不具合が起こってしまったのだ。
藤谷さんのフォローのおかげでトラブルにはならなかったけど、情けなさと罪悪感の塊になった私は謝らずにはいられなかった。
「謝らなくていい。頭を上げろ」
「でも、藤谷さんの顔に泥を塗るようなこと」
「そう思うなら、文句を言わせないくらいの完成品に仕上げて見返せ。今、櫻井がやるべきことは俺に頭を下げることじゃないだろ」
「!」
普通の上司ならきっと、もっと励ます言葉を並べてくるだろう。
藤谷さんの言葉の中には励ましの言葉はないけれど、“頑張れ。お前ならできる”という意味が強く感じられ、私は救われた気持ちでいっぱいになる。
たとえそこに一切、笑顔がないとしても。
「……はい。頑張ります」
決意を込めてそう伝えると、藤谷さんは私にしか聞こえない声で「無理はするなよ」と言ってくれたのだった。