ロールキャベツは好きですか?

side:祈梨



『週末ぐらいは、一緒に朝ごはん食べましょうよ』

彼の素敵な提案で、週末は彼が泊まっていくことが定番になった。

祥吾くんの家に行くことはあまりなかった。
何せ、祥吾くんの家は、玄関を開ければ、目の前は私の祖父宅。
そこで祖父や叔父、洋平家族に、バッタリ会うのは気恥ずかしい。

そんなこんなで、彼と付き合い1ヶ月は過ぎた。

金曜日の夜はいつも、祥吾くんと『郷』で食べて帰るのが定番なのだが、今日は別行動。

同期会が、開かれることとなっていた私は会社の最寄駅からほど近い居酒屋に入る。

祥吾くんは大学の友達と呑みにいった。

「お疲れさまー!」

「お疲れー!」

このときばかりは、上司も部下も関係なく過ごせるから、集まった同期はみんな、穏やかな表情をしている。

「あれ、あんたも来たんだ。松谷課長」

初夏にはお父さんになる、忍が今日は参加だ。
最近、奥さんに付きっきりで、同期会にはあんまり顔を見せなかったのに。

「来たら悪いか。渡邊主任」

「いーえ。別に」
< 134 / 210 >

この作品をシェア

pagetop