ロールキャベツは好きですか?
家に帰ると身体が冷え切っていたから、シャワーを浴びようと脱衣所に向かった。
「……あ」
洗面台の鏡を覗き込むと強く掴まれていた肩に痣ができているのが見て取れた。
腹部や鎖骨にはキスでつけられた情事のあとも……。
祥吾くんへの罪悪感でいっぱいだった。
セクハラだと会社に訴えたくても、証拠がない。
逃げられない?
双山部長からは逃げられないの?
鏡を覗かないように気をつけながら、シャワーを浴びるとリビングで缶ビールを続けざまに2本呑んだ。
ふと目に入るのはテレビの横に置かれた小箱。
元々はお菓子が入っていた箱だけど、今は違うものを入れている。
大切にそれを手に取って、蓋をあけた。今まで何度手に取ったかわからない淡い緑色の毛糸で編まれた手のひらよりも小さな靴下を手に取る。
亡くなった祖母が編んでくれた靴下。
この靴下の存在を祥吾くんはきっと知らない。