ロールキャベツは好きですか?
手渡されたのは、もう恒例となったカピバラのマグカップ。
コーヒーのほのかな香りが部屋いっぱいに立ち込める。
ソファに座った俺の足元に祈梨さんは直に床に座った。
自身のマグカップはテーブルに置き、代わりに何かを手に取った。それが何かははっきりと見れなかった。
「話ってなに?」
首だけこっちを向いて、微笑した。
きっと話の内容はあらかた検討がついているだろうに、あえて自分から話さないなら、言う気はもとより無さそうだ。
「向井から今連絡があった。双山部長の鞄から辞表が出てきた、って」
どうして相談してくれなかった?
どうして人から知らされなくちゃいけないんだ?
湧き上がる怒りをこらえると、ため息が出た。
そんな俺の様子に、祈梨さんはこっそりため息のような吐息をする。
「……祈梨さん、会社辞めるのですか?」
「辞めるわ。代わりにあなたを主任に推薦する」
返されたのは刃物のように冷たい声。
「どうして……?」