ロールキャベツは好きですか?

「お待たせ」

二人ぶんの足音がして、祈梨さんと智さんが帰ってきた。

「入院手続きは終わった。今日はICUに入っているけれど、明後日ぐらいから一般病棟にいけるって」

こうして見る祈梨さんは、もう疲れ切った表情をしていた。それでなくても、9時まで残業して帰ったら俺と別れ話をして。消耗していないほうがおかしい。
それでも、あと数時間もすれば、朝がきて出社しなければいけないのだ。

「田島さん。わざわざありがとうございました。明日も仕事でしょうに……」

「いえ、仕事はなんとでもなりますよ。大家さんがご無事で本当によかったです」

きっと祈梨さんのスマホに着信が来たことに気づいていては、いても立ってもいられなかった。

自分の部屋に戻ったところで、眠りなどつかなかった。ついてきて正解。

電話のおかげで、怒鳴り合いになりそうだった、言い合いも一応、休止状態だ。それにもっと大きな祈梨さんの秘密を聞いてしまった。

「じゃあ帰ろうか。お見舞いは明日もう一度来よう」

洋平さんが立ち上がり帰る支度を始めるから、俺も倣って、ダウンジャケットを羽織った。手の中の靴下は迷ったけれど、祈梨さんには渡さずダウンのポケットに仕舞った。

「智おじさんは俺家まで送るよ。だから、田島さんは姉ちゃんをお願いしてもいいですか?」

「もちろんです」

洋平さんの言葉に頷いた。
祈梨さんは少し複雑そうな顔をしたけれど異議は唱えなかった。
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