ロールキャベツは好きですか?
驚いて給湯室を出ると、すぐそばの小会議室が騒がしかった。
まだ野次馬がいないことをいいことに、小会議室まで向かって、中を覗くと。
「……え……?」
一瞬目を疑うけれど。
こちらに背を向けているのは、松谷課長と双山部長で。
双山部長は課長に首根っこを掴まれている。
その奥には、震える祈梨さんとそんな彼女を抱きしめる佐藤さん。
状況がうまく呑み込めないけれど、双山部長が焦った表情で青ざめている。
これは……もしや……。
「私、婚約者の浮気現場に鉢合わせしちゃった感じ?」
思いのほか、冷静かつどこか楽観的な口調で、俺の後ろから覗き込んだ向井が言った。
以前、部長は向井に浮気OK宣言していたから、部長の浮気はある意味、想定内だったのだろう。
向井のことを見つけた部長が青を通り越して、顔面蒼白だ。このまま貧血で倒れやしないか……?と一瞬思ってしまったぐらい。
「ま、そんなところ。まぁ俺が入ったとき、渡邊が襲われてるようにしか見えなかったけどな」
馬鹿にするように鼻で笑って、状況を説明してくれたのは、松谷課長だった。
「だったら、好き同士でやっている浮気より余計に、たちが悪いじゃない」
向井が嘆息しながら、部長を睨みつける。こいつの眼力は恐ろしいのは、そりゃあ、腐れ縁ゆえに知っている。双山部長は思い切り怯んでいた。