ロールキャベツは好きですか?
「はい。田島くん」
コトンと音がして、俺の横にコーヒーが入ったマグカップが置かれた。
顔を上げると、佐藤さんが立っている。
「あ、ありがとうございます」
松谷課長の子供を身ごもっている佐藤さんは、俺より二歳先輩だ。
「多忙の原因作っちゃったのは、私なんだけど……田島くんも無理しないでね」
申し訳なさそうにそう告げた佐藤さん。
先週、流産になりかけて入院していたらしい彼女を主任はかなり気にしている。
彼女には定時に帰らせ、その分の仕事を主任一人で抱え込んでいることを佐藤さんも気づいているようだ。
「主任。いつも通り笑ってるけど、かなり痩せてきていると思うの。無理しないで下さいって頼んでも、大丈夫だって笑うだけだし……」
佐藤さんが形のいい眉をひそめた。
それはさっき俺が思っていたところだから、他の人にもわかるくらい主任は無茶をしている。