ロールキャベツは好きですか?
残業中の主任に声をかけて、俺にできる仕事は引き受けるようにしているが……。
「すみません。俺の力不足で……主任に無理ばかりさせてしまっています」
「田島くんのせいじゃないもの。いいのよ、あなたが謝らなくて。もともと急に辞めるって言い出した私が悪いもの」
うつむく佐藤さんは、本気で申し訳なさそうにしている。
「そんなことないですよ。おめでたなんて、女性にしかできない大仕事ですから。元気な赤ちゃん産んで下さい。主任の手伝いなら俺がいくらでもしますから」
そう言うと、佐藤さんは少しホッとしたように微笑んで、ありがとう、田島くんといった。
「こちらこそ、コーヒーありがとうございます」
「あ、うん。ごめんね。仕事中にお話して。どうしても主任が無茶してるのを見てみぬふりできなくて。田島くんにお願いしにきたの」
自分のことは後回しにしてでも、部下を思いやる主任は、そんな人だからこそ、こうして、色んな人から心配され、信頼されている。
「そのカピバラくんの癒やし効果で、主任の疲れを取り除いてあげて」
「主任の疲れを癒したい気持ちは充分ありますが、俺はカピバラではありません」
そんな俺の抗議は佐藤さんの笑みにサラリと受け流された。
佐藤さんが自分のデスクに戻るのを見届けてから、やれやれとコーヒーを一口呑んだ。