ロールキャベツは好きですか?
その日も主任は残業していた。
壁にかけられたアナログ時計の針はもう夜の9時過ぎを指している。
主任は俺の隣の席で、瞼を指でグリグリしていた。
パソコンに疲れきった目をほぐしているらしい。
「主任。そろそろ帰られたらどうですか?」
俺は別に急ぎの仕事はなかったが、主任一人で残業させるのは心配だったから、それとなしに理由付けをして残っていた。
「そうね……そうする」
主任はパソコンの電源を落として、ゆっくりと立ち上がる。
キビキビした動きがない。
主任がどこかフワフワした様子で、歩きたての子供のように、頼りなかった。
「もう遅いですし、送ります」
そう言った瞬間だった。
目の前に立っていた主任が消えた。
「主任……!」
無茶をしないで、という言葉は遅かった。
もう無茶は彼女の身体の限界を超えていた。
床に倒れてしまった主任を起こすと、彼女の体は尋常じゃないほど、熱かった。