ロールキャベツは好きですか?

和やかなカピバラくんの目が細められる。

笑っているわけではなさそうだった。

私の中を、見透かそうとしているみたい。

「じゃあ主任。訊きますけど」

「なに?」

「どうして、気になる人は?と訊かれたとき、唇が動いたんですか?」

彼の観察力に、私の視線は泳いだ。
たじろぐ私に彼がやっぱりとでも言うように、吐息してから、口を開いた。

「本当はまだ、課長のこと、好きなんじゃないんですか?だから気になる人って聞いて、課長のことを思い出したんじゃないんですか?」

珍しく棘のある口調だった。

「なんで……そうなるの?」

誤解してる。田島くんは。
気になる人って訊かれて、忍のことなんて、思いもつかなかった。

「忍じゃないわよ」

つぶやいてから、しまったと思った。
田島くんの前で忍のことを名前で呼んだことはない。

案の定、彼はそのことに気づいて、苛立ったように、私の肩を掴んだ。

「痛っ」

「だったら気になる人って誰ですか?」
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