ロールキャベツは好きですか?

田島くんは私の目を覗き込む。
らしくもなく、荒々しい彼の動作。

「言ってくださいよ。気になる人って、誰なんですか?」

田島くんだった。
瞳に飛び込んできたのは、あなただった。

だけど、そう言ってあげられるほど、私は素直じゃなかった。

「離してよ。ねぇ」

「嫌です」

まるで、駄々っ子だ。

「主任。好きです」

「……田島くん」

「好きなんですよ、主任のことが」

切なそうに、瞳が揺れた。
その瞳の奥に困惑した表情の自分がいる。

「松谷課長にみっともないほど、嫉妬してます」

自嘲気味に笑って、それから。

それから。
彼は、瞼を閉じて、私に静かなキスをした。
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