素直になれない7センチ
いつもと変わらない忙しい日々。
そう思っていた私の目に、“いつもはいない人” が目に映った。
社訓を読み上げる朝礼当番の言葉をおうむ返ししていく社員達。
けれど、私は声が出なかった。
ぱく、ぱくと酸素を求めるように唇を動かしながら立ち尽くす。
どうして?と聞いたところで、返ってくる言葉なんて一つだろう。
まさかこんな偶然が起こるなんて。
毎日の習慣である社訓読み上げや、その日の連絡事項などが終わるとようやくシステム管理部の部長が咳払いをして “彼” を紹介した。
「本日づけでシステム管理部に配属されることになった夏目くんです。さ、挨拶して」
どくんっと鼓動が高鳴る。
夏目。
その名前だけで私が予測した通りの人物なのだと確信した。