セカンドパートナー
「なにその顔。傷ついたとでも言うつもり?」
止まらない。忘れるよう努力してきたはずが、どんどん溢れてくる。
「私の方がずっと嫌な思いしてきたよ。優人は自分の育った家だから言いたいことも言えるだろうけど、私はお義母さんやお義父さんと他人なの。合わないことたくさんあるけど揉めたくないから、つらくても反抗せずに我慢した。それを、嫁なら当然って顔してるお義母さん達に、優人は何も感じないわけ? 昔、自分だって嫌な思いしたって言ってたのにさ。そっか、感じないよね。だって親子だもん。性格も癖もそっくりだし、感覚麻痺してんだろうね!?」
羽留や美季に聞いてもらって発散してきたつもりだったのに、全然発散できてなかった。グチを言うだけでは根本的解決にならなかった。
「……分かってる。全部私が悪いんだよね。チハルちゃんみたいに可愛く立ち回れないから。子供ほしくないって考えだから。お義父さんやお義母さんの望み通り動く嫁じゃないから。そうだよ、だから優人は私をかばわないんだよね。私が悪いんだもん、誰にも愛される価値のない人間だから。こんな女、すぐに別れてくれればよかったのに、何であの時引き止めたの? 愛してないならハッキリそう言ってよ……」
涙が止まらなかった。
「いつでも出ていけるように貯金はしてあるから、引越し費用も優人の世話にはならない。慰謝料払えって言うなら貯金全部あげてもいいよ。それで償えるとは思わないけど……。ごめんね」
それだけ言い、私はその場から逃げるように立ち去った。
貼りついたようにその場で座ったまま、優人は立ち上がる気配を見せなかった。