セカンドパートナー

 羽留はすごい。人間関係を無難に乗り切るスペシャリストだ。

『それよりも大事なのは並河君のこと! 詩織が元気なかったの、そのせいだよね?』
「そうだけど、たかがベル番だし。電話番号だって、交換しなくたって別にたいしたことないし……」

 とか言いつつ、本当はすごく気にしてる。知らない男子のメモも気がかりだけど、並河君との電話番号交換を断ったことの方が深刻だ。

「並河君、どうして私なんかにわざわざベル番訊いてきたんだろ? 科も違うし、同じ美術科の女子ともベル打ち合ってるのに。そもそも、私達って友達かどうかも怪しいのに」
『友達になりたいからだよ』
「え……?」
『って、あたしは思うよ。詩織はベル持ってないけど、それ知ってもあたしが詩織にベル番教えたのは仲良くなりたかったからだもん。男子も、そういう部分は女子と一緒だよ。多分さ』

 背中を押すような優しい声で、羽留は言った。

『ベル番って、毎日顔合わせる相手なら誰とでも交換するみたいなとこあるよ。あたしも、そんなに仲良くない子とその場のノリで交換したりするし。並河君が同じ美術科の子とベル打ち合ってるのもそれと一緒。深い意味なんてないんじゃないかな』
「だったら、私に訊いたのも深い意味はないってことにならない?」
『本当のことは本人に訊かないと分からないけど、あたしから見て、並河君は詩織に興味持ってるように見えるよ。それもけっこう強い感じにさ! 詩織はそう思ったことない? 特別優しくされてるなぁとか』
「うーん……。優しい人だとは思うけど、特別扱いされてるとかは思わないな」

 本心だった。謙遜でもない。

 並河君は、誰に対してもああいう感じ。フレンドリーで優しくて気にかけてくれる人。同い年だけど、魅力的すぎて遠くに感じる、唯一の人。

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