生きる。



『もしもし?』


「ごめん、帰るから迎え来て。」


『……わかった。』


一輝はなにも聞いてこなかった。

とにかく早く帰りたかったから助かった。



「由茉ちゃん!」


哉斗が追いかけてきた。


「あの子、湊の幼馴染みなんだ。」


「そうなんだ。

ごめんね、今日来なくていい

って言ってたのに来ちゃって。

邪魔しちゃった。」


私が笑いながら言うと

哉斗は急に私を抱き寄せた。


「3回目だよ。無理して笑うな。」


「ごめん、いつもありがと。」


私は涙をなんとか耐えた。

もうすぐ一輝が迎えに来るから…


「由茉ちゃん、俺ほっとけないよ。

俺由茉ちゃんのこと好きだから。女として。」


………え?


「ごめんね、こんな時に。

でも由茉ちゃんが湊のこと

好きなの知ってるから。

なんにも言わなくていいよ。」


そんなわけにはいかないよ…

私は哉斗から離れた。


「ごめん。哉斗…」


「はは、謝んなよ。

虚しくなるじゃん。」


「……ありがと。」


「俺由茉ちゃんに助けられたから

俺はいつでも由茉ちゃんを助けるよ。」


「ありがとう…」


その時スマホが鳴った。

一輝かな。


「じゃあ帰るね。

バイバイ。」


「明日!迎えにいくから。」


「…ありがとう。」


私は下へ降りた。


「由茉さん。」


話しかけてきたのは和真だった。


「さっきの和真、今なら理解できるよ。

今日は帰るね。明日は来るから。

バイバイ。」


私は建物から出て一輝の車に乗った。


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