お前のとなりは俺だから


そう言った皐月は、一度だけ私と、軽く距離をとる。

そして次の瞬間……。


「キャーーッ!!」


私が騒がしくなる。

そして、私の唇から感じる、温かい体温……。


自分が皐月に、何をされたか……。

そんなことを考える間もなく離れた唇。


私は、呆然とそこに立っていることしかできなかった。


「さ、皐月くん!?」


そんな中、教室に響く、甲高い不快な声。


「あ? なんだよ」

「どうして今……。キス……したよね?」


西原の言葉に皐月は、「したけど、何?」と、挑発的な目で、西原を見ている。


……挑発して、どーすんのっ!?


そんなことを思っている私を他所に、二人は睨み合う。

……というか、皐月が一方的に見てるだけなんだけど……。


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