お前のとなりは俺だから


「今引き戻されたら、こっちに来た意味なくなっちゃうもんねー」


楓の言葉に、「そうそう」と呟きながら、皐月はコクコクと首を縦に振った。


「こっちに来たのは、夏菜にき……」

「お前っ、バカかっ!」


楓が何か言おうとした時、皐月が楓の口を押さえてしまったので、最後の方はモゴモゴといってて、聞き取れなかった。


「え、私がどうしたの?」


素直に疑問に思ったことを口にすると、楓の口から手を話した皐月が、「何でもねーよ」と言って、軽く私の額を、指で弾いた。


「いてっ」


私は、弾かれたところを手で押さえながら皐月を睨む。

皐月はそれを、涼しい顔をして受け流し、なんだか満足気な表情をしていた。


「あんたって、すっごく分かりにくい性格してるよね。ある意味、分かりやすくもあるけど」


一連の流れを見ていた楓は、皐月に向かってそう言った。


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