お前のとなりは俺だから

私だけのヒーロー



ぶち撒けられたお弁当を、再びお弁当箱の中に詰め込む。

その片付けが終わる頃には、昼休みの時間はなくなってしまっていた。


私が教室に戻ると、楓と皐月がいて、「夏菜遅すぎー。食べ終わっちゃったじゃん」と、とても不満気に楓に言われた。


私は「ごめん」とだけ言って、大人しく椅子に座る。


「お前、どーした」


皐月は、紙パックのいちごオレをズズッと言わせながら、私にそう問いかけた。


「どうって……、何が?」


私がそう言うと、皐月は鋭く目を細めながら、「なんかあっただろ」と言う。

皐月は、昔から勘だけはいい。

こういう時の、皐月の鋭い目。

何でも見透かしていそうなこの目は、昔から好きじゃなかった。


「何もないよー」


私は、笑いながらそう言うと、皐月は眉間にシワを寄せた。


お前、どうして笑ってるんだよ、とでも言いたげに。


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