May I Kiss You? 【ぎじプリ】
 私がオフィスを出ると、なぜか主任もついてきた。

 まさか私が彼に手を出していないか気になって……?

 一瞬、ギクッとしたけれど、そんなはずはない。だって、主任はさっき三日間の大阪出張から帰ってきたばかりなんだから。この三日間の私と彼との会話は知らないはず。

「塚本さん」

 給湯室に入った私を追いかけるように、主任の声がすぐうしろから聞こえた。

「はい……?」

 おそるおそる振り返る私の前で、主任が端正な顔にゆったりと笑みを浮かべる。きれいな弧を描いた唇があまりにセクシーで、心臓が大きな音を立てた。

「塚本さんってさ、俺のマグカップをいつも物欲しそうな目で見てたけど、あれ、ほしいの?」
「えっ」

 主任の言葉にドキッとした。主任の有名漫才コンビの〝お笑いライブ限定マグカップ〟を見てるの、バレてたなんて!

「限定品だもんな。今回の出張で運良く手に入れられたんだ。だから、塚本さんには特別にお土産」

 ほかの人には内緒だよ、と言って、主任が左手に持っていた小さな紙袋を差し出した。
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