知らない貴方と、蜜月旅行
*初めての実家と、二度目の実家です…
新婚旅行、二日目の夜も特になにもされることなく(期待していたわけではない)、普通にゴハンを食べて、お土産を買って、私たちの旅行は終了した。


そして今、私たちは二度目の実家……吏仁の実家にお邪魔している。そしてこのあとすぐに、私の実家へ行くことになっている…。


「紫月さん、楽しかった?」
「あ、はい。海もキレイで、ゴハンも美味しくて、また行きたいくらいです」
「そう、いいわねぇ。ね、パパ。私たちも行きましょうよ」
「あぁ、そうだね。時間作って行こうか」


吏仁の両親は、とっても仲が良い。初めて来た時も思ったけど、二人の距離感が短いし、いつもお互い笑顔で、羨ましく感じてしまうほど。


「じゃあ、お土産も渡したし。これから紫月の実家行ってくる」
「あら、もう行っちゃうの?でも、紫月さんのご両親も待っているものね」
「すみません…」
「ううん、いいのよ。それより、ちゃんとご挨拶したいから、吏仁、時間作って紫月さんのご家族とお食事できるよう、セッティングしてくれる?」
「あぁ、分かった」


みんなで食事か…。なんか本当に、みんなを巻き込んでウソをつくのって、気持ちのいいものではないよね…。でも〝私たちに愛はありません!〟なんて、言えるはずもないし…。


「じゃあ、また来るよ。あ、オヤジ。仕事は明日から行くよ」
「いいのか?明日一日ゆっくりしてもいいんだぞ」
「いや、さすがに休みすぎだろ」
「まぁ、お前が言うなら明日からまた頼むよ」
「あぁ、じゃあまたな」


吏仁、やっぱり無理して休み取ってくれてたのかな…?責任者って言ってたもんね。その責任者が何日も私用で休んだら、働いてる人たちもいい気はしないよね…。


じゃあ、私は明日から一人であの家で暮らすってことだよね。でもさすがに、吏仁にお世話になるわけにいかないよね。私も働かないとな。仕事、見つかるかな…。


「紫月の家、意外と近いんだな」
「そう?近い…?一時間は、かかると思うけど…」
「一時間くらい、近いうちに入るだろ」
「ふ〜ん」


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