知らない貴方と、蜜月旅行
一時間って近いうちに入るんだ。私は遠いと感じてるから、あまり実家に帰らないんだけど…。まぁ、人それぞれだよね。


本当は、ゆっくりしたいんだけど、吏仁明日から仕事みたいだし、吏仁を紹介して、お土産渡して、早めに切り上げてこよう。たいして、期待もしてないだろうし。


「あ、吏仁。このマンションなの」
「そうか」
「一軒家じゃなくて、ごめん」
「は?なんで謝んのか、意味わかんねぇけど」
「だって、吏仁ん家立派だからさ…」
「そんなん関係ねぇだろ」


吏仁はそう言ってくれるけど、あんな立派な家のあとに、マンションって…。すごい狭く感じるし…実際、狭いんだけどさ。


「ただいま」
「あー、おかえり……って、大変!お父さん、お父さん!!紫月がイケメン連れてきたわよー!!」


あぁ、我ながら自分の母親がイタイ…。家に帰るなり、お母さんが吏仁を見てビックリ。まさか私のような子が、イケメンを連れてくるとは思わなかったんだろう。


吏仁を見るなり、悲鳴に近い声を上げて、お父さんを呼びにリビングへ走って行ってしまった…。本当、顔だけはいい男だからな吏仁って。


「……なんか、ごめんね」
「いや。でも、嫁のお母さんにイケメンって言われると、なんか変な気分になるな」
「変態っ」
「ち、ちげーよ。そういう気分じゃねぇよ!」


変な気分って、どんな気分よ!もう、お母さんが吏仁のこと、イケメンとか言うから、こんなことになるんじゃない。まったく…。


あー、なんか嫌な予感しかしない。早く切り上げて帰れるんだろうか。すごく怖くなってきたよ…。


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