知らない貴方と、蜜月旅行
「吏仁ってさ、俺様で、本当自分勝手なの。こっちの意見全然聞いてくれないし」


本当勝手に籍入れちゃうし、沖縄だってなんの、ためらいもなく来ちゃうし。


「でもね、吏仁といると嫌なこと全部忘れられるんだ。多分、吏仁がなにも考えないようにしてくれてるんだと思うんだけどね」


エッチな発言も、強引なところも、全部私が亮太を思い出さないため。悲しい思いをさせないためだと思う。


「吏仁は私を一番に考えてくれるんだ。だから具体的には言えないけど、私を大切にしてくれるところ…かな」


ううん、私だけじゃないよね。ああやって、お父さんのお酒に付き合ったりしてさ。しかも嫌な顔ひとつしないで。


「そう…。紫月、いい人と出会ったのね」
「…うん」
「安心したわ」
「そう?」


相変わらず吏仁とお父さんは、お酒を飲んでいる。吏仁、飲み過ぎじゃないかな…。大丈夫なのかな…。


「ちょっと、お父さん。飲ませすぎじゃない?吏仁、洗い物も済ませたし、今日は帰ろう?」
「……あぁ、そうだな」


あ。ちょっと酔ってる…?なんか反応遅いし…。お父さん、どれだけ飲ませたのよ…。


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