知らない貴方と、蜜月旅行
「吏仁がね、店に来いって」
「店って?」
「あ、そっか。言ってなかったね。吏仁ね、この近くのブリーズの店長なの」
「え?!ブリーズの?!」


ほら、やっぱりビックリするよね。するんだよ。それくらいブリーズって、有名なんだよね。


「晩御飯食べがてら来いって…。でもブリーズ高いよね…。どうする?」
「え、でも行くって言ってたじゃない。私はいいよ、蒼井さんが迷惑じゃないなら」
「うん。吏仁は、いいよって言ってたから、迷惑じゃないはずだよ」
「じゃあ、行く。会って、どんな人か見てみたい」
「うん」


私も久未の立場なら、きっと心配。そんな出会って二日で籍入れちゃうような男。私だって、よく分からないもの。


「でもさ、紫月」
「ん?」
「なんか、亮太くんと話してる時より、楽しそうだったよ」
「えっ?」


亮太と話してる時より、楽しそう?私が?久未の言葉に、戸惑ってしまう自分がいた。だって、ずっといた亮太とより、まだ数日しか一緒にいない吏仁といるほうが楽しそうって、結構な問題だよ。


「なんていうのかな。まぁ、亮太くんとは長く付き合ってたからっていうのもあるかもしれないけど、電話の時とか、ただ要件だけですぐ切ってたのを覚えてるんだ」


確かにそう。亮太から電話が来た時は、無駄な話はせずに、ただ要件だけ伝えて切られてた。


「でもさ、今の蒼井さんとの会話聞いてたらさ、シチューのくだりとか、私の言ってた言葉とか、べつにいらない情報でしょ?」
「あー、そうだね。なんで私、言ったんだろう?」


そうだよね、べつに吏仁にとって、それはいらない情報だよね。でも、なんでか吏仁に言いたくなったんだよなぁ。


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