知らない貴方と、蜜月旅行
*亮太のことが本気で好きでした
あれから年末を迎え、初めてのお正月も過ごした。ただ、私たちの距離感はグンと離れてしまったまま…。


あの時、私が心に溜まっているモヤモヤを吐き出していれば、こんなことにはならなかった…?でも後悔しても、もう遅い。


吏仁はあの日から、帰る時間が少し遅くなった。作ったごはんは一応〝美味しい〟と、食べてくれるけど、あまり会話もないから、かなり気まずい…。


そういえば一度、陽悟さんがお休みで吏仁が出勤中、家に来たことがあった。最初は悩んだけど、モニターに映る彼は少し元気がなくて、家に上げてしまった。


聞けば、あのあとコッテリ絞られたらしく、事情は分からないけど…と、謝りに来た。そして、いつも鬼の店長らしい吏仁は、あの日を境に更に鬼になったらしく、助けてほしいと言われた。


助けてあげたいけど、きっと私が原因だろうから、どうしてあげることもできない…。陽悟さんは何度も謝ってくれたけど、謝らなきゃいけないのは、私のほうだ。


久未は何度か様子を見に来てくれて、話を聞いてくれて、私の心のケアをしてくれている。


亮太のことが忘れられない自分、もしかしたらまだ私を好きでいてくれてるんじゃないかと思う自分、だけど吏仁の優しさに惹かれて好きになっているかもしれない自分。


考えても考えても、分からなくなって最終的に泣いてしまう、この弱い心。なら、両方とも諦めてしまえばいいのに、それすら出来ないでいるワガママな私。


でも、ついにそれが終わる時がきたんだ。決着をつける時が──


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