知らない貴方と、蜜月旅行
「で、どうだったんだよ」
「あっ…あの、実はね、ちょっとだけヒビが入ってるらしくって……」
「あ?」
「ちょっ!怖いから!その鬼みたいな顔やめてっ!」
「お前…鬼ってなぁ」


だっていちいち、こっちがビクついちゃう…。〝あ?〟って言った瞬間に鏡で顔見せてやりたいよ!


「紫月…」
「ん…?」
「勘違いして、悪かったな」
「……ううん」
「余裕がなかった」


やっぱり、陽悟さんの言うとおり、余裕がなかったんだね…。素直に言ってくれて、嬉しかったよ。悪いことは悪いという吏仁。そういうとこ、好きかも。


「で、完治するまで長いのか?」
「ううん、一週間?二週間?安静にしてれば、って。折れてなくて良かったよ…」
「そうか」


でもあのグーパンチで、骨にヒビ入れるなんて…。顔じゃなくて良かったよ…。顔だったらって考えるとちょっと怖いや…。


「…にしてもだ。女に暴力とか、あいつふざけてんだろ」
「………」
「あー、苛立ってきた」


吏仁は腕組みをしたあと、クシャッと自分の髪をかき乱した。こういう時に言う言葉じゃないけど、そういう仕草もカッコイイかも…。


ダメだ、私…。一度〝好き〟だと確信しちゃったら、止まらなくなっちゃう…。どんな吏仁も格好良く見えちゃう…。


「あー、紫月。陽悟はどうした?お前のこと送ってくれなかったのかよ」
「えっ?あー…。そのことなんだけど……」
「ん?」


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