知らない貴方と、蜜月旅行
聞かれても聞かれなくても言うつもりだったけど、いざ言うとなると言いたくなくなるなぁ。


「あのさ…。陽悟さんに気付かれちゃったからには、話さなきゃいけないじゃない?色々とさ。それで、亮太のこと話したら、すごく怒ってくれてね」
「あぁ」
「行っちゃったの…」
「は?」
「亮太に治療費もらってくるって」
「……あのバカ」


吏仁は深いため息を漏らすと、陽悟さんに対しての言葉を吐いた。


「ごめんね、とめたんだけど聞いてくれなくて…」
「いや。まぁ、あいつなら大丈夫だろうが。俺も許せないが、陽悟も許せなかったんだろうな」
「大丈夫だといいんだけど…」


私に手を上げてきた亮太だから、陽悟さんにもなにかするんじゃないかと思うと怖くなる。


「大丈夫だ。紫月と違って、あいつは男だ。なにかあれば自分で回避できんだろ」


でも回避できなかったら…と思うと、余計に怖い。やっぱり行かせるべきじゃなかったなぁ…。


「紫月、大丈夫だ。陽悟とは付き合いが長ぇんだよ。その俺が言うんだから、なにも心配いらねぇって」
「……うん」


そうだよね。吏仁が大丈夫って言うのなら、きっと大丈夫だよね。それに亮太、私が痛がってるのを見て、相当ビビってたしね。うん、吏仁の言うことを信じよう。


「陽悟からの連絡は待つことにして、家に帰るぞ。こんなとこにずっといたら、風邪引いちまう」
「うん、そうだね…」


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