金曜日の恋奏曲(ラプソディ)
傘と私と恋心



あの夕陽が差し込んだ特別な空気の中で、俯いて一生懸命何かを書いている須藤くんがいる。



あ、いつものあの景色だ…って思ったら、須藤くんがおもむろに立ち上がって、私の方に歩いてきた。



え、えって驚いてあたふたする私に、須藤くんはあの笑顔で、そっと1枚の紙切れを渡す。



『今まで書いてたのはずっとこれだったんだよ』



あの声で、優しく私に言う。



私はドキドキしながら、ゆっくりと、キレイに折りたたまれたその紙を開いて…。



中に何が書いてあるか、知ることはない。



いつもそこで、甘いまどろみが私を支配し始めるから。



紙切れが、私の手からこぼれ落ちた。



でも体が麻痺したように動かなくて、拾うことが出来ない。



体が宙に浮いたかと思うと、ぐんっと引っぱり上げられた。



紙切れがどんどん遠ざかっていく。



必死にもがいても、凄いスピードで引きはがされていく。



次の瞬間、空中に放り出されて、私は何か柔らかいものに包み込まれた。



それはとても心地が良くて、私は全てを諦めて、安らかな気持ちで身をゆだねる。







こうして、夢の世界はあっという間に私を飲み込んでいく。












目が覚める。


今日は月曜日。


金曜日まで、あと4日。
















目が覚める。


今日は火曜日。


金曜日まで、あと3日。















目が覚める。


今日は水曜日。


金曜日まで、あと2日。















目が覚める。


今日は木曜日。


金曜日まで、あと1日。














そして、最後の夜。


次に目が覚めたら、やっと金曜日だ。





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