音楽プレーヤー
マナはそっと、音楽プレーヤーを受け取った。
ゆっくりピッと、画面を表示させる。
「カケル。
本当にこのバンド好きなの」
「ああ」
「カムフラージュじゃないんだね」
「違うよ」
マナも色は違うけど、同じプレーヤーを持っている。
だから使い方は、わかっている。
「……マナ。
イヤホンを、耳にさすだけで良い。
再生ボタンは、俺が押すから」
「……」
マナは無言で、イヤホンを両耳にさす。
音量を少し落とす。
「聞こえなかったら、音量を上げてほしい。
調整は全て、マナに任せる」
「……うん」
「んじゃ……押すな」
俺は、【アイコ】を再生させた。
例えそれが、マナの涙を誘おうとも。