ヒーロー(ヤンデレ)が死亡しました
「それで?お前は“夜空”の何?」
「あ、恋人です」
「フィーさんっ!」
「すみません、つい。違うと言おうかと思ったのですが、彼との仲で嘘をつきたくなくて」
どうしても彼との仲を問われると本当のことを言ってしまう。
サクスくんがあわあわとしている内に、今度は私が騎士団の標的にされてしまった。
「アディ隊長、捕らえますか。“夜空”の関係者ならば、王都にとって有益な情報を持っているやもしれません」
「……」
少女ーーアディ隊長は、目を細めて私を見る。
「何もありはしない。報告はあった。“夜空”が村に留まっている理由に関して。でも、そう。本当だったのね」
「彼の死体を持って行ったと聞きました」
「それは我が隊ではない。……すまない」
機械的と評したけど、訂正。何も関わっていないというのに、恋人の死体を弔わせてやれなかったと詫びを入れられた。
「今度は、何のようなのですか」
「“夜空”の所持していた杖がなくなった」
脂汗が一気に出てくる感覚を味わう。
「特殊な儀礼杖。力ある“夜空”が使ってこそ真価を発揮するものだが、強力な“夜空”の残滓が残る杖。管理しなければ、大いなる災いを呼びかねない」
そんなに危ない杖なので!?と、出かけの言葉を飲む。呪文をもっと長くかっこよくすれば、大地を割ることも出来てしまうのではないか!?
「あの、よく分かんないすけど。『その状態なら、問題ない』とかクラビスさんが言ってますよ」
受け取った言葉のまま、耳打ちしてくるサクスくんから安心を得る。
ふにゃふにゃなブレスレットになった杖ではそんなことは出来ないらしい。残念ーーじゃなかった、安心安心。
「なに?杖の在処、知っている?」
「い、いえいえいえっ、ど、どこに行ったのでしょうね!早く見つかるとイイデスネー」
普段嘘をつけない人がつくと、棒読みに(こう)なります。
部下騎士はアディ隊長に「こやつ、怪しいですぞ」と話すが、アディ隊長は私を一瞥して、下がれと話す。