ヒーロー(ヤンデレ)が死亡しました



いったい、何人殺せば止まるかな?



その一人目の首が締まろうとする。
誰かのために動くなら、誰かのためでしか止まれない。

その他の命なんて石ころも同然。唯一絶対の命を守るために、完璧なる悪になろうとする彼。

「好きのままでいさせて下さい。“再会”した時の第一声が『大嫌い』だなんて、イヤじゃないですか」

お互いに、と想像したら案外面白く笑ってしまった。

一拍おいて、サクスくんがホッとしたように胸をなで下ろす。

「フィーさんって、駆け引きうまいっすね」

「駆け引きじゃありませんよ。本気です」


危険な場所にためらいなく行けるのも、心のどこかにあったから。

誰かのためにだなんて、大義名分。
ナイフを取りこぼし、死に損なったあの日から、私は彼のことばかりを考えているのだから。

死ぬほど愛してます。
そう直接言える時が来るように、好きのままでいさせてほしいんだ。







< 40 / 59 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop