ヒーロー(ヤンデレ)が死亡しました
いったい、何人殺せば止まるかな?
その一人目の首が締まろうとする。
誰かのために動くなら、誰かのためでしか止まれない。
その他の命なんて石ころも同然。唯一絶対の命を守るために、完璧なる悪になろうとする彼。
「好きのままでいさせて下さい。“再会”した時の第一声が『大嫌い』だなんて、イヤじゃないですか」
お互いに、と想像したら案外面白く笑ってしまった。
一拍おいて、サクスくんがホッとしたように胸をなで下ろす。
「フィーさんって、駆け引きうまいっすね」
「駆け引きじゃありませんよ。本気です」
危険な場所にためらいなく行けるのも、心のどこかにあったから。
誰かのためにだなんて、大義名分。
ナイフを取りこぼし、死に損なったあの日から、私は彼のことばかりを考えているのだから。
死ぬほど愛してます。
そう直接言える時が来るように、好きのままでいさせてほしいんだ。