あなたと恋の始め方②【シリーズ全完結】
研究室のドアを開けて私は違和感を覚えた。さっきまで居たはずの中垣先輩の姿がなかった。いつもここで買ってきた弁当かパンを食べているのに今は居ない。急に胸がキュッと痛くなる。私の机の上に置きっぱなしになっていた。画面には中垣先輩の名前と着信があったことを知らせている。そして、携帯の下にはコピー用紙を折ったものが置いてあった。
『悪い。急用で早退する』
書いてあるのはそれだけ。中垣先輩が私の帰りを待たずに行くというのはお祖母さんのことしか考えられない。容体が急変したのだろうか?私が戻ってくるのも待てないほどとなると、かなり悪いのだろう。
私が今、出来ることは研究しかない。
少しでも頑張れば、中垣先輩の時間も増える。そんな思いで仕事をしていた時のことだった。私が取った資料の下から紙の束がバサッと床に散らばる。無造作に置かれた机の上から気を配らずに手を伸ばしたのが間違いだった。中垣先輩の机の方に私の資料が落ちてしまった。
積んだ紙の束がガサっと雪崩を起こした。
それは中垣先輩の机の上に流れ、覆いつくす。アッと言う間にまた元のように机には紙の束で埋め尽くされる。そして、広がった書類に私は目を見開いた。それは紙袋から零れ落ちた書類で『心臓狭窄による冠動脈バイパス手術』と書かれていた。
まさか心臓だとは思わなかった。
『悪い。急用で早退する』
書いてあるのはそれだけ。中垣先輩が私の帰りを待たずに行くというのはお祖母さんのことしか考えられない。容体が急変したのだろうか?私が戻ってくるのも待てないほどとなると、かなり悪いのだろう。
私が今、出来ることは研究しかない。
少しでも頑張れば、中垣先輩の時間も増える。そんな思いで仕事をしていた時のことだった。私が取った資料の下から紙の束がバサッと床に散らばる。無造作に置かれた机の上から気を配らずに手を伸ばしたのが間違いだった。中垣先輩の机の方に私の資料が落ちてしまった。
積んだ紙の束がガサっと雪崩を起こした。
それは中垣先輩の机の上に流れ、覆いつくす。アッと言う間にまた元のように机には紙の束で埋め尽くされる。そして、広がった書類に私は目を見開いた。それは紙袋から零れ落ちた書類で『心臓狭窄による冠動脈バイパス手術』と書かれていた。
まさか心臓だとは思わなかった。