あなたと恋の始め方②【シリーズ全完結】
「私、今日。別れるつもりで来たのに」
あんなに苦しくてどうしようもなかったことを小林さんはあっさりと飛び越えてしまう。それにしてもプロポーズされるなんて思いもしなかった。
「前に別れる話は聞かないって言ったよね」
「でも、二年もあるのに」
「たった二年だよ。俺もまだ未熟なんだ。だから、美羽ちゃんがフランスから帰ってくるまで自分を磨いて待っている。東京の本社営業一課から静岡支社に来たときみたいに、俺は追いかけない。ここで美羽ちゃんの帰りを待つ。だから、美羽ちゃんはフランスで思う存分研究して俺のところに帰ってきて」
小林さんの言葉に私の瞳からは涙が溢れてくる。さっきまでの悲しく苦しい気持ちではなく、全く違う意味の涙だった。
「小林さんに他に好きな人が出来るかもしれないのに」
私がそう言いながらも、左手に嵌っている綺麗な指輪から目が離せない。これは小林さんの真摯な思いだった。
「それは俺のセリフだよ。美羽ちゃんを縛らないといけないほど心配なんだよ。我ながら恰好悪いとも思う。狡いとも正直思う。でも、諦めて、俺の奥さんになるって言ってよ」
そう言って優しく私の身体を抱き締めた。私が小林さんの胸に頬を寄せると小林さんの心臓は驚くほど飛び跳ねていた。甘く掠れた言葉が私の耳に囁かれた。
あんなに苦しくてどうしようもなかったことを小林さんはあっさりと飛び越えてしまう。それにしてもプロポーズされるなんて思いもしなかった。
「前に別れる話は聞かないって言ったよね」
「でも、二年もあるのに」
「たった二年だよ。俺もまだ未熟なんだ。だから、美羽ちゃんがフランスから帰ってくるまで自分を磨いて待っている。東京の本社営業一課から静岡支社に来たときみたいに、俺は追いかけない。ここで美羽ちゃんの帰りを待つ。だから、美羽ちゃんはフランスで思う存分研究して俺のところに帰ってきて」
小林さんの言葉に私の瞳からは涙が溢れてくる。さっきまでの悲しく苦しい気持ちではなく、全く違う意味の涙だった。
「小林さんに他に好きな人が出来るかもしれないのに」
私がそう言いながらも、左手に嵌っている綺麗な指輪から目が離せない。これは小林さんの真摯な思いだった。
「それは俺のセリフだよ。美羽ちゃんを縛らないといけないほど心配なんだよ。我ながら恰好悪いとも思う。狡いとも正直思う。でも、諦めて、俺の奥さんになるって言ってよ」
そう言って優しく私の身体を抱き締めた。私が小林さんの胸に頬を寄せると小林さんの心臓は驚くほど飛び跳ねていた。甘く掠れた言葉が私の耳に囁かれた。