あなたと恋の始め方②【シリーズ全完結】
 キャルさんの部屋は私の横の部屋で、中の作りは一緒なのに、綺麗に片付けられた部屋はすっきりとした部屋だった。壁に壁一面に研究で使う文献などの資料が揃っていて、私が持っているものもたくさんある。違うのは日本語かフランス語かの違いくらい、この本棚を見ているとキャルさんが身近に感じる。一緒に仕事をしていくんだと思った。


 ベッドと、大きなクッション。それと、丸いテーブル。使用している家具はフランスのもので明らかに日本とは違う。なのに、テーブルの足は短く切られてあって、日本の座卓のような感じにされていた。普通ならテーブルに椅子の生活なのだろうけど、キャルさんの部屋は家具はフランスのものなのに、使い方は日本の和室のようだった。


 さすがに畳は無いけど、絨毯の上にリネンのカバーを掛けてある。座布団の代わりに大きめのクッションが床に置いてある。丸いテーブルの周りにクッションを置いて過ごすのがキャルさんの生活なのだろう。落ち着く感じがするリビングだった。ベッドもあるけど、その高さも低めで天井までの空間が広かった。


「素敵な部屋ですね」


「ありがとう。日本では畳での生活だったでしょ。だから、椅子の生活に慣れなくて…結局、これが一番ホッとするの」


「私も落ち着きます」


「美羽も?それならよかったわ。いつでも遊びに来てね」


「このデリはどこに置いたらいい?」


 部屋の可愛らしさに見とれていた私は折戸さんの手にたくさんの荷物があるのを忘れていた。
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