あなたと恋の始め方②【シリーズ全完結】
「これ全部食べるのですか?」


 三人で食べるには絶対に多すぎる量。絶対に余るのが目に見えている。デリの入っている袋だけでなく、野菜も入っているし、肉らしきものもある。ワインなんか三本以上あるし、水も入っている瓶もある。


「まさか。半分は美羽ちゃんの冷蔵庫行き。美羽ちゃんの部屋の冷蔵庫にも食料が必要でしょ。フランスでの生活に慣れたら店で食べるのもいいけど、慣れない時は自分の部屋で食べるだろうし、美羽ちゃんは自分で料理もするでしょ。だから、買ってきた。仕事が忙しい時は近くに持ち帰りのデリの店もかなりあるから、生活には困らないと思うよ」


 そう言いながら、折戸さんはテーブルの上に今日食べるデリと、私の冷蔵庫に入れるものを分けていく。テーブルの上もかなりの豪華さだったが、私の冷蔵庫行きもかなりのものだった。一週間は軽く生活出来そうなくらいのものが袋に入っている。キャルさんは袋の中を見ながら呆れたような曖昧な微笑みを浮かべる。


「翔がそんなに過保護だとは思わなかったわ。どんなにフランス支社で同僚の女の子に囲まれても、そんなに蕩けるような笑顔を見せたりしないのに美羽には甘いわ。翔の新たな一面を発見って感じ?」


「美羽ちゃんは特別。妹みたいなものだから、フランスに居る間はずっと俺が大事にしようと思って」


 そんな折戸さんの甘い言葉にドキドキしてしまう。綺麗な笑顔を向けられるとどうしても心臓は素直に飛び跳ねた。折戸さんの言葉はたまに心臓に悪すぎる。


「翔は美羽が好きなのね」
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