あなたと恋の始め方②【シリーズ全完結】
「そうなんですね。歴史を感じさせるようなものですよね」


「いつの時代かに作られた有名な彫刻家の複製なのではないかと言われているけど、自分の研究にか興味のない人ばかりの集まりだから、誰も調べないまま今に至っているの。学問の女神のミネルワァって言うのも本当か嘘なのかも分からないくらいなの」


「キャロライン。そちらが美羽かしら?」


 私とキャルさんが女神像の前で話していると、後ろから声が聞こえた。優しく穏やかな声に振り向くとそこには金髪碧眼の男の人が立っていた。年齢はかなり年上なのは分かる。目尻に優しそうな皺がいくつも入り、目だけではなく、歓迎ムードを醸し出した人だった。すらっとした体躯に白衣を着た姿は正に研究員という雰囲気。


「レイモンド。ありがとう。今から、所長に挨拶に行くわ。あ、彼はこのフランス研究所の副所長のレイモンドよ」


 副所長…レイモンドさん。私の中で副所長はもう少しふくよかな女性を想像していた。まさか、彼のようにモデルさながらの人がとは思わなかった。サラリと綺麗なフランス語が耳に届く。今までの練習の成果を試す時間がこんなに早く来るとは思わなかった。


「初めまして。ミウ・サカガミです。よろしくお願いします」

 一応、フランス語で言ってみる。


 ジャパニーズイングリッシュならぬ、ジャパニーズフレンチ。通じるか、通じないか?


「こちらこそ、私の名前はレイモンドです。会えて嬉しいよ」


 とりあえずぎこちなくはあったけど、通じたみたいだった。

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