あなたと恋の始め方②【シリーズ全完結】
私がフランスに来て半年くらい経った頃に小林さんがフランスに来る予定になっていた。私のアパルトマンを拠点にして私もまだ行ったことのない観光地を回ろうと思っていた。本屋でガイドブックを買い、小林さんのための食器の準備なんかもしていた。
でも、静岡支社の課長が急に倒れたために主任である小林さんが課長代行をすることになり、休暇は取り消しとなり、フランスに来ることは出来なかった。これはフランスに来る予定になっていた一週間前のことで、『大丈夫です』と言いながらも私はガッカリとして、仕事なら仕方ないと自分に言い聞かせた。
小林さんがフランスに来れないなら、私が日本に帰国したらいいと思った。母からも一度帰国したらどうかとも言われていたから、そのつもりだった。でも、それも難しくなったのは今まで全く成果の出なかった研究の糸口を見つけることが出来たのだった。
その研究のチーフに抜擢されたのがキャルと私で、私達二人を中心に特別チームが編成され、研究に没頭しないといけないようになってしまった。
それから四か月経った今でも研究の真っ最中。フランスから日本に帰国するなんて現実的ではない夢物語だった。体調を崩していた静岡支社の課長は現場復帰したらしいけど、さすがに前みたいに仕事が出来ないので、小林さんは補佐的な役割をずっとしている。
小林さんもしばらくは日本を離れることが出来ない様子だった。会えるのはまだ先。二人して現実の壁に阻まれていた。
でも、静岡支社の課長が急に倒れたために主任である小林さんが課長代行をすることになり、休暇は取り消しとなり、フランスに来ることは出来なかった。これはフランスに来る予定になっていた一週間前のことで、『大丈夫です』と言いながらも私はガッカリとして、仕事なら仕方ないと自分に言い聞かせた。
小林さんがフランスに来れないなら、私が日本に帰国したらいいと思った。母からも一度帰国したらどうかとも言われていたから、そのつもりだった。でも、それも難しくなったのは今まで全く成果の出なかった研究の糸口を見つけることが出来たのだった。
その研究のチーフに抜擢されたのがキャルと私で、私達二人を中心に特別チームが編成され、研究に没頭しないといけないようになってしまった。
それから四か月経った今でも研究の真っ最中。フランスから日本に帰国するなんて現実的ではない夢物語だった。体調を崩していた静岡支社の課長は現場復帰したらしいけど、さすがに前みたいに仕事が出来ないので、小林さんは補佐的な役割をずっとしている。
小林さんもしばらくは日本を離れることが出来ない様子だった。会えるのはまだ先。二人して現実の壁に阻まれていた。