あなたと恋の始め方②【シリーズ全完結】
 勿論迷惑なんかではない。でも、久しぶり過ぎてどうしていいか分からない。さっきはいきなり抱きついてしまったので、驚かせてしまったし…。距離感が掴めないでいる。


 折戸さんを送りに来ただけなのに…今は、小林さんと一緒にいる。その現実は私の頭の中のコンピューターを完全に誤作動させている。それは間違いない。


「迷惑とかは絶対にないです。でも、正直、吃驚もしています。とりあえず落ち着かないといけないと自分には言い聞かせていますが、中々難しくて…。それに心変わりの何も…私もずっと小林さんのことだけを思ってます」


 そう言いながら、小林さんを見つめるだけで心臓の音が一際大きくなるのだから始末に負えない。好きという気持ちは自分では制御出来ない状況になっている。今からとりあえず小林さんの泊まるホテルを探して、支社に案内して…。明日からの行動を研究所に確認に行って。頭の中は色々と思うけど、一本の線にならずに点在しているように感じた。


「俺なんか落ち着く気配なんかないよ。今でも飛び上がりたいくらいに嬉しい。さすがにこの年の男がそんなことをするとドン引くからしないけど。今ならここでヒップホップくらいなら踊れそう」


「小林さんって踊れるんですか?」


「高校の時に応援団で皆で練習したから結構踊れる。っていうかマジで何言っているんだ。俺。マジで格好悪い」


 小林さんは私の顔を見つめ、フッと息を吐いた。そして、少し余裕のない顔を見せる。その真剣な顔に魅せられる私がいた。
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