あなたと恋の始め方②【シリーズ全完結】
「俺って。格好悪い。美羽ちゃんがフランスに行ってからずっと会いたいと思っていた。美羽ちゃんが目の前にいて理性がぶっ飛びそうなんで煽るのは許してよ」


 余裕がないのは私だけじゃなくて、小林さんも一緒で、もしかしたら飛行機の中でずっと私のことを思っていてくれたのかもしれない。そう思うと愛しさが込み上げた。少し緩まれた腕の中から見上げると、少し困ったような顔をする小林さんがいて、私はこの状況に幸せを感じていた。


 シャルルドゴール空港のメトロの駅に向かう端。行きかう人はいくらでもいるのに私には小林さんしか見えてなった。この温もりだけで十分、幸せだった。好きという気持ち。シンプルだけでこれが素直な気持ち。


「一度、フランス支社に案内します。小林さんの用事が終わったらコーヒーを私の部屋で飲みませんか?それにプチホテルに泊まるなんて言わないでください。一緒に居たい。私の部屋に泊まってください。それじゃダメですか?」


 私がそういうと小林さんは私の顔を真剣に見つめ、その顔には不安な色が浮かんでいる。


「美羽ちゃんはそれでいいの?俺が一緒でもいい?」


「なんでそんなことを聞くんですか?会社の関係でプチホテルに泊まったことにしないといけないとしても、出来れば私の部屋で一緒に過ごしたいです。私と一緒ではダメですか?」


 私にはそんなことを聞かれる理由が分からなかった。確かに一年離れていたけど、ずっとメールはしていたし、たまに電話もしていた。お互いの仕事で中々会えなかったけど、私の気持ちはあの時と全く変わらず小林さんだけを思っていた。
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