あなたと恋の始め方②【シリーズ全完結】
「ソラの説明は面白い。ショウも似たようなことを言ってた。この商品に興味が出たよ。担当に来させるように連絡して欲しい」


 考えてみれば、日本でもフランスでも売っている商品は一緒。言葉は違うけど、売っているものが一緒なら、小林さんなら容易いことなのだろう。本社営業一課での英才教育はここでも通用する。こんな風に仕事をしている小林さんの姿を見ることが出来るなんて思わなかった。


「ありがとうございます。では支社の方から連絡を入れさせます」


 小林さんと一緒に訪問先を出ると、小林さんは大きな息を吐いた。そして、疲れたような顔を私に向けたのだった。


「緊張して喉が渇いた。ただの視察と思っていたのにあんな話の展開になるなんて折戸さんが仕込んでいたとしか思えないよ。美羽ちゃんと一緒に動くことを見越して…。俺にご褒美だね。嫌になるくらいに出来る人だよ」


「カフェに行きましょ」


 今日の視察は一件だけ。その後は自由時間となっている。


「あ、疲れた。俺、本当にヤバい」


 私と小林さんはカフェに入ると、さっきの視察先の件で支社に連絡をすると、それから、少しここでゆっくりすることにした。午後からどこに行くのかを考えないといけない。一応、小林さんは遊びに来たわけではない。史跡を見て回り、見識を広げるのもこの視察の目的でもある。


 折戸さんが仕込んでいたのかもしれないけど、その意図を汲み取り、契約への道筋を上手に作ったのは小林さんの実力だと思う。いくら道筋を書いても実行できなかったら、意味がない。


「久しぶりに小林さんの横で仕事しました。懐かしい反面、小林さんが凄かった」




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