あなたと恋の始め方②【シリーズ全完結】
「俺が凄い?」


「はい。本社営業一課で一緒に仕事をしていた時よりも説明も分かりやすかったし、相手の事をきちんと考えながらも、それでいて、自分の言いたいことをきちんと言うのって本当に難しいと思うんです」


「美羽ちゃんと一緒に働いていた頃よりも少しは成長出来ているのかな?あんまり自分では分からないけど。さ、これで後は自由行動だよ。どこに行くかはガイドさんにお任せします」


 昨日の今日でガイドも何も…とは思うけど、フランスに来てから色々な場所に行く度に、小林さんと一緒に来れたらよかったのにと思った場所もある。


「小林さんが気に入ってくれるかわかりませんが、私が小林さんと一緒に行きたいと思った場所でもいいですか?史跡とかだけではないですが」


「いいよ。それで」

 
 小林さんと一緒に話し合いながら今からの行先を決めていくのは楽しい。私は公共の交通機関で行くことが多かったけど、小林さんが車を運転してくれるというから、移動時間が短縮される。そうなると、つい計算に計算を重ね、緻密なスケジュールを作りそうになる。研究者としての性なのかもしれないけど、私は計画的に行っていくのが性にあっていると思う。


 自分の手帳に色々書きこんでいく私とは逆に小林さんはパラパラと持ってきてあった情報誌を捲るとにっこりと笑った。


「美羽ちゃんの計画通りにいかなかったらごめんね。運転は頑張るけど慣れてないから」


「本当に運転して貰っていいですか?」


「うん、もちろん」

< 403 / 498 >

この作品をシェア

pagetop