あなたと恋の始め方②【シリーズ全完結】
私の前に座る研究所長はいつも以上にゆったりと座ると優しい視線を私に向ける。でも、優しい雰囲気なのにどこか普段と違う雰囲気に心臓が嫌な音を立て始めた。指先から緊張が身体を駆け巡り、静かに息を吐いても身体が強張る様な気さえする。
どうも新しい研究という感じでもない。もしも新しい研究に入るのなら、私だけでなくチームになるはずの人を全員呼び寄せるだろう。
「いきなり来て貰ってすまない。実は相談があって坂上さんに来て貰った」
研究所長からの相談なんて何があるのだろう。
今まで話したことも数えるくらいなのに、何の相談なんだろうって思ってしまう。
「キャルが結婚して、研究所を辞めてそろそろ一か月くらいになる。フランス研究所としては正直なところ研究員不足が否めない。他の研究の遅れからか、新しいチームも座礁仕掛けている。日本の研究所でもそうだと思うけど、研究員が一人前に育つのに時間が掛かるのは知っているだろう。そこで、相談なのだか、交換留学の期間を一年延長してもらうように日本の本社に申し入れしてもいいだろうか?
坂上さんがいいならこのままフランスの研究所に籍を移ってもらってもいい?」
「延長に移籍ですか?」
「ああ、フランス研究所としては坂上さんにずっといて欲しいと思っている。交換留学ということで来て貰っているけど、期待以上の仕事をしてくれているし、これからの研究所を支える一人になって貰えないだろうか」
研究所長の口ぶりは延長よりも移籍の方に気持ちが傾いているように感じた。
確かに人員不足で新しい研究にも入れないでいるけど、だからと言って延長に移籍となると話は変わってくる。
どうも新しい研究という感じでもない。もしも新しい研究に入るのなら、私だけでなくチームになるはずの人を全員呼び寄せるだろう。
「いきなり来て貰ってすまない。実は相談があって坂上さんに来て貰った」
研究所長からの相談なんて何があるのだろう。
今まで話したことも数えるくらいなのに、何の相談なんだろうって思ってしまう。
「キャルが結婚して、研究所を辞めてそろそろ一か月くらいになる。フランス研究所としては正直なところ研究員不足が否めない。他の研究の遅れからか、新しいチームも座礁仕掛けている。日本の研究所でもそうだと思うけど、研究員が一人前に育つのに時間が掛かるのは知っているだろう。そこで、相談なのだか、交換留学の期間を一年延長してもらうように日本の本社に申し入れしてもいいだろうか?
坂上さんがいいならこのままフランスの研究所に籍を移ってもらってもいい?」
「延長に移籍ですか?」
「ああ、フランス研究所としては坂上さんにずっといて欲しいと思っている。交換留学ということで来て貰っているけど、期待以上の仕事をしてくれているし、これからの研究所を支える一人になって貰えないだろうか」
研究所長の口ぶりは延長よりも移籍の方に気持ちが傾いているように感じた。
確かに人員不足で新しい研究にも入れないでいるけど、だからと言って延長に移籍となると話は変わってくる。