あなたと恋の始め方②【シリーズ全完結】
 ゆっくりとベッドに寝せると俺も寝ることにした。営業の仕事は体力勝負だとおもう。


 今日もワインは飲めなかったけど、腐るわけでもないので、今度の楽しみに取っておこう。そんなことを思いながら、美羽ちゃんの身体を自分の腕で包みこむようにして目を閉じることにした。


 健康な男が可愛いと思う女の子を腕に抱いていると、違う意味で抱きたいと思う。


 そんな気持ちがムクムクと湧き上がるけど、このままゆっくりと眠らせてあげたいという気持ちが交差する。そして、心の天秤が揺れたのは眠らせてあげたいという気持ちだった。


 どうしようもないくらいに美羽ちゃんに恋をしている俺がいる。


 それにしても、結婚式の時に聞いたことには驚いた。テレビに映っていた俺に初恋なんてあのタイミングで言うなんて無邪気にもほどがある。俺をこれ以上好きにならせるための謀としか思えない。でも、あの美羽ちゃんの性格で謀なんか無理なのはわかっている。


 そして、俺は美羽ちゃんにまた溺れる。どこまで俺を落とすのかと聞きたいくらいだよ。


 朝起きると、美羽ちゃんが俺の腕の中にいる。今日も俺の方が先に起きて、美羽ちゃんの可愛らし寝顔を見ていると、美羽ちゃんが腕の中でモゾモゾと動いた。

 美羽ちゃんはどんなに仕事が忙しくても大体同じ時間に起きる。きちんと見てないけど、起きて準備をする前に少し時間はあるだろう。


 俺はもちろん目を閉じる。

 
 美羽ちゃんはゆっくりと身体を動かし、時計を確認するような動きをして、目を少し擦ってから俺の心を打ち砕くような声で囁いた。


「甘えてもいいよね」
< 496 / 498 >

この作品をシェア

pagetop