あなたと恋の始め方②【シリーズ全完結】
 そういうと、小林さんはチェストの上に置いてある鍵を持つと、玄関に向かって歩いていく小林さんは振り向いてニッコリと笑う。


「美羽ちゃん。アレいる?」


「アレって?」


「この間、遊園地の近くのコンビニで買ったもの」


 咄嗟に自分の顔が真っ赤に燃えるように感じたのは嘘じゃない。きっと私は耳まで真っ赤になっているだろう。でも、このタイミングで言う小林さんは少しだけイジワルだった。頭に浮かぶのはあの個性的で自己主張の凄すぎる箱だった。


「イジワル」


「うん。そうだね。今日は美羽ちゃんを抱くつもりはないよ。週末には抱き潰すけど…。ということで行ってきます」


 小林さんはサラッと言って私の部屋を出て行ったけど、その前に大きな爆弾を落として行った。『週末は抱き潰す』って言ってなかった?あの時の小林さんの色香を纏った姿がフラッシュバックされ、私は頭をブンブンと横に振った。


「とりあえずシャワー浴びて来よう」


 そんな言い訳のような言葉を口にしてから、私はバスルームに向かう。小林さんがコンビニから戻って来るまでそんなに時間は掛からないだろうから、私は手早くシャワーを浴びることにした。とりあえず、頭から一度強めのお湯を浴びる必要があると思ってそうしたのだった。


 小林さんがコンビニから戻ってきたのは三十分くらいしてからのことだった。ちょうど私がシャワーを浴びて髪にドライヤーを掛けているところだった。


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