専務と心中!
車椅子を押して出てきたのは……年配の穏やかそうな女性。
……わかさん?
専務のお名前は、統(すばる)さんのはず。
もしかして、若旦那さん、ってことなのかな……。
「やあ、お花さん。見ての通りだよ。すまないね。迷惑をかけるけど、頼むよ。……マダムは?」
お花さんと呼ばれた家政婦は、薫が専務を車椅子におろしやすいように手伝いながら、さらりと言った。
「お休みになられました。」
……えー……だって、インターホン出はったやん。
イロイロつっこみたい気がしたけど、飲み込んだ。
「じゃあね。にほちゃん、おやすみ。水島くん、ありがとう。……頼んだよ?よろしくね。」
専務はニコニコと笑顔で、私たちに釘を刺した。
「ヘラヘラしてても、けっこう強引で、怖いヒトやな。専務のぐっちーさん。」
帰る道中、薫がそうぼやいた。
「……会社では、ヘラヘラしてるとこしか見たことなかったんやけどね。意外なキャラやったわ。」
何となく、薫も私も、毒気を抜かれたというか……
「てか、にお?平気?……彼氏の話。」
気遣わしげに、薫が聞いてきた。
「あー。」
意図せず、低い声が漏れ出た。
「……平気じゃダメなのに……いや、まるっきり平気と言うわけじゃないんだけど……それ以上に、専務に振り回されたかも。」
薫は少し首を傾げた。
「……なあ。穿った見方かもれんけど……ぐっちー専務、ほんまはもっと前から知ってたんちゃうか?彼氏の二股。」
へ?
「何で?」
「……何となく。自分の離婚成立まで、におを彼氏にキープさせておきたかったのかな?って。切り札のつもりで取っておいたのに、今夜、俺も別れたし……俺とにおの邪魔したくて、ジョーカーを切ったんかも。」
……えー。
何か、めっちゃあざとくない?
「二段駆けと番捲(ばんまく)の話もな、暗喩やった気がする。……俺は、におが幸せなら誰とつきあっててもいいって思ってるけど、ぐっちー専務は誰にもにおを譲る気はない、って。あれ、言外に宣言してたわ。……そう感じひんかった?」
えええ?
そんなこと言ってたっけ?
わからない。
……でも……
「じゃあ、今夜は帰る?……薫、風俗でも行く?」
そう聞いたら、薫は苦笑していた。
「……にお次第。ぐっちー専務の気持ちはわかったけど、におは?彼氏も俺も切って、あのヒトの離婚を待つ気になった?」
はあ!?
……わかさん?
専務のお名前は、統(すばる)さんのはず。
もしかして、若旦那さん、ってことなのかな……。
「やあ、お花さん。見ての通りだよ。すまないね。迷惑をかけるけど、頼むよ。……マダムは?」
お花さんと呼ばれた家政婦は、薫が専務を車椅子におろしやすいように手伝いながら、さらりと言った。
「お休みになられました。」
……えー……だって、インターホン出はったやん。
イロイロつっこみたい気がしたけど、飲み込んだ。
「じゃあね。にほちゃん、おやすみ。水島くん、ありがとう。……頼んだよ?よろしくね。」
専務はニコニコと笑顔で、私たちに釘を刺した。
「ヘラヘラしてても、けっこう強引で、怖いヒトやな。専務のぐっちーさん。」
帰る道中、薫がそうぼやいた。
「……会社では、ヘラヘラしてるとこしか見たことなかったんやけどね。意外なキャラやったわ。」
何となく、薫も私も、毒気を抜かれたというか……
「てか、にお?平気?……彼氏の話。」
気遣わしげに、薫が聞いてきた。
「あー。」
意図せず、低い声が漏れ出た。
「……平気じゃダメなのに……いや、まるっきり平気と言うわけじゃないんだけど……それ以上に、専務に振り回されたかも。」
薫は少し首を傾げた。
「……なあ。穿った見方かもれんけど……ぐっちー専務、ほんまはもっと前から知ってたんちゃうか?彼氏の二股。」
へ?
「何で?」
「……何となく。自分の離婚成立まで、におを彼氏にキープさせておきたかったのかな?って。切り札のつもりで取っておいたのに、今夜、俺も別れたし……俺とにおの邪魔したくて、ジョーカーを切ったんかも。」
……えー。
何か、めっちゃあざとくない?
「二段駆けと番捲(ばんまく)の話もな、暗喩やった気がする。……俺は、におが幸せなら誰とつきあっててもいいって思ってるけど、ぐっちー専務は誰にもにおを譲る気はない、って。あれ、言外に宣言してたわ。……そう感じひんかった?」
えええ?
そんなこと言ってたっけ?
わからない。
……でも……
「じゃあ、今夜は帰る?……薫、風俗でも行く?」
そう聞いたら、薫は苦笑していた。
「……にお次第。ぐっちー専務の気持ちはわかったけど、におは?彼氏も俺も切って、あのヒトの離婚を待つ気になった?」
はあ!?