専務と心中!
「お!水島、優勝かも。」
スポーツ新聞を見て、碧生くんはいそいそと携帯を取り出した。
ネット投票で薫の車券を買う気らしい。
「布居さんも、買う?」
そう聞かれて、私は首を傾げ手から、ふるふると首を横に振った。
「んー。応援車券買いたい気もするけど、私、会員登録してへんから。」
断ったつもりだったけど、碧生くんはあっさりと
「いや。俺の口座で買うけど。中沢さんみたいに大金賭けないよね?三連単?筋で買うの?」
と、手続きを進めていく。
買う気なかったんやけど。
ま、いいか。
私は碧生くんからスポーツ新聞を受け取り、出走メンバーを眺めた。
今日の薫の敵は……うーん……。
決勝戦に上がってきたのは、自在選手とマーク屋たち。
これ、薫の先行一車だ。
なるほど。
薫、優勝するかもしれない。
チャンスだわ!
とたんに、私のテンションも上がった。
「じゃあ、頼んでいい?薫、頭(1着)で総流し。薫をヒモ(2着)で、自在の2人を頭で。合計10点100円ずつ千円。以上、よろしく!」
そうお願いすると、碧生くんは苦笑した。
「安いよー?的中してもガミるかも。」
「ふうん?碧生くん、ガミる、って言うんだ。」
私も使わないギャンブル用語に驚いた。
「うん?布居さんは?トリガミ?」
これも、ギャンブル用語だ。
「ううん。言わない。『取って損』とかは言うかな。ガミって、よくわからんし、響(ひび)きが微妙というか……。」
美しくないよね。
言葉を濁したけど、碧生くんは、くすりと笑った。
「なるほど。由来を知らなきゃ、汚い響きだと感じるかもね。でも、これって、『粋(すい)が身(み)を食(く)う』っていう、江戸時代のカルタにも使われた有名なことわざからできてるんだよ。」
「すいがみをくう?……なるほど。すい、がみ、をくうんだ。へえー!じゃあ、トリガミは?」
日系三世なのに、何でもよく知ってるなあ。
感心してさらに聞いてみた。
「同じだよ。馬券・車券・舟券を的中させても、購入点数の方が多くて結果的に損をしたときに、的中させて取ったのにガミを食う、ってのが略されてのトリガミ。」
碧生くんはそう説明してくれてから、苦笑した。
「ごいっちゃん、やばいんじゃない?桃山期の面(おもて)を買ったらしいよ。……それこそ、『粋が身を食う』にならなきゃいいけど。」
スポーツ新聞を見て、碧生くんはいそいそと携帯を取り出した。
ネット投票で薫の車券を買う気らしい。
「布居さんも、買う?」
そう聞かれて、私は首を傾げ手から、ふるふると首を横に振った。
「んー。応援車券買いたい気もするけど、私、会員登録してへんから。」
断ったつもりだったけど、碧生くんはあっさりと
「いや。俺の口座で買うけど。中沢さんみたいに大金賭けないよね?三連単?筋で買うの?」
と、手続きを進めていく。
買う気なかったんやけど。
ま、いいか。
私は碧生くんからスポーツ新聞を受け取り、出走メンバーを眺めた。
今日の薫の敵は……うーん……。
決勝戦に上がってきたのは、自在選手とマーク屋たち。
これ、薫の先行一車だ。
なるほど。
薫、優勝するかもしれない。
チャンスだわ!
とたんに、私のテンションも上がった。
「じゃあ、頼んでいい?薫、頭(1着)で総流し。薫をヒモ(2着)で、自在の2人を頭で。合計10点100円ずつ千円。以上、よろしく!」
そうお願いすると、碧生くんは苦笑した。
「安いよー?的中してもガミるかも。」
「ふうん?碧生くん、ガミる、って言うんだ。」
私も使わないギャンブル用語に驚いた。
「うん?布居さんは?トリガミ?」
これも、ギャンブル用語だ。
「ううん。言わない。『取って損』とかは言うかな。ガミって、よくわからんし、響(ひび)きが微妙というか……。」
美しくないよね。
言葉を濁したけど、碧生くんは、くすりと笑った。
「なるほど。由来を知らなきゃ、汚い響きだと感じるかもね。でも、これって、『粋(すい)が身(み)を食(く)う』っていう、江戸時代のカルタにも使われた有名なことわざからできてるんだよ。」
「すいがみをくう?……なるほど。すい、がみ、をくうんだ。へえー!じゃあ、トリガミは?」
日系三世なのに、何でもよく知ってるなあ。
感心してさらに聞いてみた。
「同じだよ。馬券・車券・舟券を的中させても、購入点数の方が多くて結果的に損をしたときに、的中させて取ったのにガミを食う、ってのが略されてのトリガミ。」
碧生くんはそう説明してくれてから、苦笑した。
「ごいっちゃん、やばいんじゃない?桃山期の面(おもて)を買ったらしいよ。……それこそ、『粋が身を食う』にならなきゃいいけど。」