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私がドアをノックしても、返事がなかった。

すると、後ろから肩をちょんちょんとつつかれた。

「うわっ!」

驚きながらも、顔だけ後ろに向けた。

そこには今原がいた。

「なんのよう?」

「いや…その挨拶に、と思って…」

「どうぞ」

今原はドアを開けて私を中に入れた。

ちょっと冷たくないっ!?

おどおどしてるほうが可愛かったのに…

なんだこれ…

母性かっ!?

私は床に腰を下ろした。

今原も私と向かいあって座る。

「あの…改めまして、綾瀬花音です。よろしくね。」

「今原昴です。よろしく。」

なんだろう…

冷たいんだか、硬派なのか分かんないや。

「悠紀さんのところには行った?」

私は伝え忘れちゃいけないと思い、聞いてみた。

「あぁ。レディファーストだと思って陽南さんのところに行ったら、『悠紀さんのところに行け』って言われたから、行ったよ。」

「そっか…じゃあ良かった。」

「綾瀬は…」

今原は言いかけた。

「何?」

と私が聞いても

「なんでもない。」

と返されてしまった。

何を言おうとしてたんだろ…

「昴って呼ばせてもらうから」

私はそれだけ言い残し、部屋へと戻った。

荷物をキャリーバッグから出しながら、今原の言葉を思い出していた。

何を聞こうとしていたの?

私は隠していることなんてないのに…

私は悩んだが、解決はしそうになかった。

だから、頭からその悩みは消去された。
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